投資でよく言われる「持たざるリスク」とは?
持たざるリスクとは、主に機関投資家が用いる用語。想定外の上昇相場において、株式などの商品を買わないことで発生するリスクのことです。顧客の資産を用いて、市場全体の動きに連動した成果を目指すインデックス投資を運用する場合には、相場が急騰した場合であっても、指標にしているインデックスを大幅に下回ることは避けなければなりません。
個人投資家にとっても、持たざるリスクがないとは言えません。株価が上昇している時に、買わなかったことや売ってしまったという機会損失に対して後悔するという心理的ストレスが生じる可能性があるからです。
個人が「持たざるリスク」を考える必要はほとんどない
そうはいっても、個人の方や、投資を貯蓄の一環だと考えている方にとっては、持たざるリスクはあまり意識する必要はないでしょう。投資は自分の目的や期間に合わせて行うことが大切です。個人は「(教育資金や老後資金が欲しいから)この時期までにこれくらい貯める!」という貯蓄目標を達成するために資産運用を行うべきであり、市場に振り回されることは得策ではないからです。
また、個人であれば、株式だけでなく債券・投資信託・不動産・現金・外貨など他の金融商品を持ち、購入するタイミングをずらして分散投資を続けることが、リスクを低減するもっとも効果的な方法です。20年以上運用するという長期運用もリスク低減策の一つ。市場の動きに左右される短期投資はリスクが大きく、儲ける金額も損をする金額も高額になりがちです。
市場の動向を知ることも重要ですが、それよりも自分のポートフォリオが貯蓄目標を達成できる比率になっているかどうかを常にチェックし、必要に応じて調整することが大切です。
個人は分散投資が重要
分散投資とは、資産の種類・国・購入時期などを分散させることで、リスクを抑えつつ投資の効果を上げる投資戦略です。
例えば、100万円分を投資に回す場合、一つの銘柄にすべてを投資するのではなく、米国株式40%、新興国株式30%、日本株式20%、国債10%という形で分散させます。また、一気に100万円を使い切るのではなく、毎月数万円ずつ買い付けを行うことで、投資先の上昇・下落の幅(リスク)を小さくできます。
市場の変動や投資対象の情報収集を行うことはできても、値動きを読むことはプロの投資家にとっても困難です。投資はあくまでもリスクを取って儲けるための挑戦であって、確実に儲かる方法ではありません。個人の力で完全にリスクを回避し、儲け続けることはほぼ不可能といっていいでしょう。
その点、分散投資は投資初心者でも簡単に取り組めて、リスクを下げられる投資戦略です。ただし、全くリスクがないわけではありません。投資で起こりうる損失について十分に理解した上で、投資先を決めるようにしましょう。